過活動膀胱に適応のある抗コリン薬の比較と使い分け ベシケア、ウリトス、バップフォー、トビエースなどの比較。

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過活動膀胱(OAB)の治療薬には、抗コリン薬が8つあります。比較して覚えておきたいことを整理してみます。

過活動膀胱OAB(overactive bladder)などの基本的なこと

下部尿路障害、過活動膀胱と不安定膀胱

まず下部尿路障害には、前立腺肥大症、過活動膀胱、低活動膀胱、腹圧性尿失禁などがあります。

  • 前立腺肥大症
  • 過活動膀胱:不安定膀胱とほぼ同じ。
  • 低活動膀胱
  • 腹圧性尿失禁

今回は過活動膀胱の治療薬についてのまとめと比較です。

過活動膀胱:尿意切迫感を必須とした症状症候群のこと。頻尿・夜間頻尿・切迫性尿失禁・尿漏れを伴うことがある。

また、不安定膀胱という従来の症状症候群がありますが、これは過活動膀胱とほぼ同義です。ポラキスの適応には不安定膀胱がありますが、過活動膀胱はありません。しかし特にポラキスと他の過活動膀胱に適応のある薬剤とで区別する必要はないでしょう。

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抗コリン薬とβ3作動薬

過活動膀胱の治療には主に抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)とβ3作動薬を使います。抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)は副交感神経の働きを抑え、β3作動薬は交感神経の働きを強めます。結果としてどちらも膀胱容量を高めることができます。

  • 抗コリン薬→副交感神経を弱める。
  • β3作動薬→交感神経を強める。

8つの抗コリン薬(過活動性膀胱)を販売開始年代別に並べてみます。

8つの抗コリン薬を上記の順番に並べてみます。抗コリン薬にもいろいろありますが、過活動性膀胱で使われるもの限定です。

というのも同系統の薬を整理・記憶しようと思ったら、まずは発売年月順に並べると覚えやすかったりするからです。もちろん薬価収載年月順でもいいと思います。

とりあえず発売年月順に並べてみると以下のようになります。

  • ポラキス 1988.05
  • バップフォー 1993.05
  • デトルシトール 2006.06
  • ベシケア 2007.07
  • ウリトス 2011.04
  • ステーブラ 2011.04
  • トビエース 2013.03
  • ネオキシテープ 2013.05

これらの薬を順に頭のなかで整理していって、薬剤それぞれにイメージをつけて固めていくといいと思います。

イメージをつけるというのは、選択して使えるようにといった感じのことです。

今回は8つ薬剤があるので、比較としてはちょっと多いです。ですので8つの薬剤をひとつのブロックにするようなイメージとしてしまうのがコツです。

同系統の薬を整理しておいて、次にひとつずつの薬の同系統のなかでの位置づけが分かるといいです。それが瞬時にぱっと浮かんでくればいいですね。

例えばポラキス錠を処方・選択したという場面があったら、

≫わざわざ古いポラキスを選択しているのは、ある程度副作用を許容しつつ使うつもりかな?

≫リスク/ベネフィットから判断してポラキスを効かせていきたいのかな、あえて服用回数の多い1日3回のポラキスを選択しているけれど、ちゃんと飲めるかな?

上記のようなことです。そういったイメージをつけていくと自然と頭に入ってきやすいし、忘れにくいです。

ポラキスとネオキシテープは一般名が同じ。

次に、ポラキス錠とネオキシテープは同成分で剤形違いという点です。成分名はオキシブチニン塩酸塩です。

古くからあるポラキスと同成分とはいえ、ネオキシテープの効果はバップフォーと同程度あります。しかも1日1回の貼り替えなので使い勝手がいいです。

ウリトスとステーブラは同種同効です。

杏林のウリトスと小野薬品のステーブラは同一成分(イミダフェナシン)で同種同効です。錠剤の大きさや重さ(直径・厚み・形・重さ)に違いはないので、どちらを選択しても全く同じです。区別する意味はないですね。

  • ポラキス 1988.05
  • ネオキシテープ 2013.05
  • バップフォー 1993.05
  • デトルシトール 2006.06
  • ベシケア 2007.07
  • ウリトスとステーブラ 2011.04
  • トビエース 2013.03

上記のようにイメージを変えていきます。

剤型の違いや用法の違いがあるので、それぞれの使い勝手を見ていきます。

ポラキス

ポラキスは錠剤です。ポラキス錠の規格は1mgと2mgと3mgがあります。有効性が高いものの、抗コリン薬特有の副作用である口渇や便秘が出やすいのが弱点でした。脳へも移行しやすく、眠気や認知機能障害などの副作用も心配されます。そのため高齢者へは使いにくいです。

用法は1回2mgから3mgを1日3回です。つまり通常6mgから9mgを分3です。腎障害があっても正常腎機能の場合と同じ用量でOKです。

ネオキシテープ

ネオキシテープの規格はひとつだけです。ネオキシテープ73.5mgのみです。1日1枚で24時間毎に張り替える貼付剤です。ポラキス錠と同一成分を使っているものの、外用の貼付剤へ改良されて血中濃度の立ち上がりが遅いです。そのため副作用に関して有利となりました。

貼付剤の使い方で気になる【半分などにハサミで切って使用可能か?】という点は、マトリックス型であれば理論的には問題なく、効果は単純に面積に比例するとも考えられます。しかし、多くは切断した場合の使用経験がないとか、吸収量が変化するとか、剥がれやすくなるといった理由からメーカーは推奨していません。

ネオキシテープ に関しては、マトリックス型であるので、基本的には切って使えそうです。やはりメーカーは推奨していないようです。

バップフォー

バップフォー は93年に発売開始されましたが、現在でもかなり多く処方を見かけます。過活動膀胱による頻尿や、夜尿症への対処療法の目的で広く使われています。脳への移行性はポラキスよりは高くないようですが、後述の新しく開発された製剤に比べて、【そこそこある】という位置付けです。

1日1回から2回の服用なので、1日3回服用しなければならないポラキスより使い勝手が良くなっています。

デトルシトール

デトルシトールの特徴は、まず膀胱への選択性がアップして、脳への移行率が少なくなった点があります。脳への移行が少ないということは認知障害の副作用が起こりにくいということです。さらに徐放性製剤のため、1日1回の服用ですむというメリットがあります。

デトルシトールはメリットが多くなりましたが、財形がカプセル剤しかないという弱点があります。カプセルは人によっては錠剤よりも飲みにくい場合があります。また、粉砕が困難です

デトルシトール の脱カプセルについてはどうでしょう?

徐放性製剤を粉砕したり脱カプセルした場合、徐放性が失われるのではないか?という懸念があります。

しかしデトルシトールでは、カプセル中の顆粒のひとつひとつが徐放性を持っています。カプセル自体が徐放性の機能を持っているわけではありません。ですので理論的には【脱カプセルしたとしても徐放性は失われない】と考えられます。ただしやはりメーカーは明確には保証していないという立場です。

ベシケア

ベシケア はデトルシトール と同様に、膀胱選択性が高いです。一方、デトルシトール と比較するとムスカリン受容体のサブタイプに対する親和性に違いがあります。

ムスカリン受容体にはM1からM5までのサブタイプがあります。

ベシケア はM3に対する高い親和性を持っています。一方で、デトルシトールはベシケア と同じく膀胱選択性は高いですが、ムスカリン受容体サブタイプM1からM5に対してはベシケア ほど親和性に差がないようです。

  • M1 →脳に分布あり。間接的に膀胱平滑筋の収縮抑制にも関わる。
  • M2 →心臓などに分布あり。
  • M3 →主に平滑筋に分布あり。
  • M4 →脳に分布あり。
  • M5 →脳に分布あり。

サブタイプ別の特徴について、大まかには上記の通りと考えられます。重要な点は、過活動性膀胱への効果に関わってくるムスカリン受容体サブタイプは、M1とM3であることです。

理論的にはベシケア よりデトルシトール の方が副作用が出やすいと言えます。実際には相性があるようですので、治療を進めながら見ていく必要がありそうです。

用法については、ベシケア もデトルシトール と同様に1日1回です。ただしベシケアは徐放性製剤ではありません。

服用回数に優位性はありませんか、ベシケア の剤型は錠剤で、しかもOD錠が開発されていますので、そこには結構大きなアドバンテージがあると思います。薬剤師的にも使い勝手が良い製剤である印象があります。

ただ、粉砕に関しては、味・刺激性の観点でメーカー保証はないです。またOD錠は、味のマスキングをしているため【かみ砕かないように指導しろ】と添付文書に記載されています。OD錠なのに??といった感じですね。

ウリトスとステーブラ

前述しましたが、ウリトスは杏林、ステーブラは小野薬品が販売元で、同一のものです。

共に錠剤、OD錠があります。規格は0.1mgのみです。膀胱選択性が高く副作用が出にくいです。特に口渇の副作用は少ないです。

ウリトス とステーブラはベシケア に比べて作用時間が短いです。そのため1日2回服用が通常となっています。錠剤とOD錠があるのはベシケア と同じく使い勝手が良いイメージです。ウリトス とステーブラはジェネリックがまだ出ていないので費用の面では気をつける必要がありそうです。

トビエース

トビエース は従来薬に比べて膀胱選択性が高く、ムスカリン受容体のサブタイプM3への選択性が高いです。副作用も出にくくなっている点がメリットです。

一方、錠剤タイプですが徐放性製剤で、1日1回服用のメリットがあるものの、粉砕は推奨されていません。

過活動膀胱(不安定膀胱)に適応のある抗コリン薬まとめ

発売順
  • ポラキス
  • バップフォー
  • デトルシトール
  • ベシケア
  • ウリトス とステーブラ
  • トビエース
  • ネオキシテープ
服用回数 剤型
  • ポラキス 1日3回(錠剤)
  • バップフォー 1日1から2回(錠剤)
  • デトルシトール 1日1回(徐放性カプセル)
  • ベシケア 1日1回(徐放性ではない OD錠あり)
  • ウリトス とステーブラ 1日2回(OD錠あり)
  • トビエース 1日1回(徐放性錠剤)
  • ネオキシテープ 1日1回(貼付剤 マトリックス型)

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